要約
この課では、 を底とする対数を を底とする指数関数の逆関数として定義し、それによって自然対数と常用対数を定める。対数の性質(積・商・累乗の性質)と底の変換公式およびその帰結を証明し、対数関数の単調性、符号、グラフを鉛直漸近線とともに調べ、 が、さらに一般に、一より大きい自然数の、それと互いに素な自然数を底とする対数が、無理数であることを証明する。続いて、常用対数を、数を書き出さずにその桁数を数えることに応用し、音響学、化学、地震学の対数目盛を説明し、長さを足すことで数を掛ける計算尺の原理を説明する。
学習目標
- 対数を指数関数の逆関数として定義し、簡単な対数を計算し、対数関数の定義域、値域、グラフを識別する。
- 対数の性質と底の変換公式を証明し、応用する。
- 底に応じて対数の単調性と符号を決定し、整数乗の累乗の間の不等式によって対数を見積もる。
- 常用対数を用いて桁数を数え、対数目盛を解釈し、ある種の対数の無理性を証明する。
指数関数の逆関数としての対数
指数関数と実数の指数の課では、次のことが証明された。 かつ ならば、各実数 に累乗 を対応させる関数は、 のとき狭義単調増加、 のとき狭義単調減少である。さらに、指数関数の値域の定理(そこで実数の完備性とベルヌーイの不等式を用いて証明された)により、この関数は各正の値をちょうど一度ずつとり、したがって から区間 への全単射である。狭義単調関数の逆関数の定理(関数の演算と逆関数の課で証明された)により、この関数は逆関数をもつ。そうであれば、各正の数 に対して指数 がただ一つ存在して となり、次の定義は意味をもつ。
、ただし 、かつ とする。 を底とする対数の における値を と書き、これは唯一の実数 であって を満たすものである。関数 は で定義され実数値をとり、 を底とする指数関数の逆関数である。
したがって、対数は指数についての問いに答える。 は、 をその数で累乗すると が得られるような数である。こうして、、、 であり、また有理数の指数と累乗根の課により であるから、次が成り立つ:
と を底とする指数関数とは互いに逆関数なので、一方は他方の働きを打ち消す。第一の恒等式はすべての正の に対して成り立ち、第二の恒等式はすべての実数 に対して成り立つ。
特に、 と から、どの底についても と が従う。ゼロも負の数も対数をもたない。正の底をもつ累乗はすべて正だからである。 であって となるものは存在しない。二つの底には固有の名前がある。底 、すなわち数 e と自然指数関数の課で調べた数は自然対数を与え、これを と書く。底 は常用対数を与え、これを と書く。多くの本や電卓では底を書かずに と書き、あるときは自然対数を、あるときは常用対数を表す。本コースでは底を常に書く。
対数は 1614 年にジョン・ネイピアによって発表され、その数年後にヘンリー・ブリッグスが最初の常用対数表を計算した。三世紀以上にわたって、対数は天文学、航海術、工学の計算を簡略化するのに役立った。後の節で証明するように、積を和に変えるからである。対数のグラフは、同じく逆関数についての課にある逆関数のグラフの定理により、指数関数のグラフから得られる。全単射な関数のグラフとその逆関数のグラフは、直線 に関して対称である。
のグラフを作る。指数関数 のグラフをもとに、それを直線 に関して折り返す。
証明
のグラフ上のいくつかの点を計算する。 が 、、、 に等しいとき、累乗の値はそれぞれ 、、、 である。
定義により、各等式 は を意味する。対数のグラフ上の点は、座標を入れ替えることで得られる。
同じことがすべての点について成り立つ。点 が のグラフ上にあるのは、 が のグラフ上にあるとき、かつそのときに限る。二つのグラフは直線 に関して対称であり、 のグラフは指数関数のグラフを折り返したものである。
折り返すと定義域と値域が入れ替わる。対数は正の数に対してだけ定義され、すべての実数値をとる。 軸( のグラフが左のほうで近づく軸)は 軸( のグラフが の近くで近づく軸)に変わる。
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