要約
この講義では、LaTeX における数式表記の語彙と、そこから選ぶための判断基準を見ていく。波括弧が添字と指数をまとめる理由と、波括弧がないときに何が起こるかを説明し、三つの大きさの分数と斜線、根号、ギリシャ文字とその異体、そして各数式用字体が表す慣習を、fontspec のもとで警告なしに消える組み合わせも含めて紹介する。名前つき演算子を単なる文字の並びと区別し、実際にコンパイルして、日本語の文書では babel を読み込まないので演算子は LaTeX の名前のままであること、ほかの言語、たとえばスペイン語では babel が介入すること(\lim にアクセントがつき、\sen が新しい命令になり、\sin は変わらない)と、それをどのオプションで制御するかを示す。さらに、大型演算子とその上下限、自動と手動の大きさの区切り記号、mathtools による絶対値とノルム、三点リーダ、アクセント、関係記号と矢印を扱う。知らない記号の見つけ方を学び、unicode-math による Unicode 記号の直接入力をその利点と落とし穴とともに検討し、最後に文書の記法をプリアンブルで確定する。
学習目標
- 添字、指数、分数、根号を含むソースの結果を予測し、波括弧によるまとめがないときにそれを修正できる。
- 分野の慣習に合った数式用字体、ギリシャ文字の異体、区切り記号を選び、エラーなしに失われる組み合わせを見抜ける。
- 名前つき演算子を立体で正しい空きとともに書き、文書の言語に応じて babel がそれに何を変えるかを予測し、
\DeclareMathOperatorで新しい演算子を定義できる。 - 和、積、積分をその上下限とともに本文中と別行立てで組み、
\left、\rightまたは手動の大きさで区切り記号の大きさを決められる。 - 知らない記号の命令を見つけ、unicode-math を使うべきかを根拠をもって判断し、文書の記法をプリアンブルで確定できる。
添字、指数、波括弧の役割
前回は数式モードへの入り方を見た。数式モードの中では、記号 ^ はその後に続くものを指数(上付き)に上げ、記号 _ はそれを添字(下付き)に下げる。決定的な規則はこうである。どちらの記号もただ一つの要素、すなわち直後の一文字か一つの命令、あるいは波括弧で囲んだ一つのグループにしか作用しない。そうであれば、x^10 は x の 10 乗ではなく、x の 1 乗のあとにベースライン上の 0 が続いたものになる。e^-x はマイナス記号だけを上げる。波括弧は印刷されない。何がひとまとまりかをエンジンに伝えるだけである。
添字と指数の順序は関係ない。x_i^2 と x^2_i は同じ結果になる。プライム ' は指数の略記なので、f'^2 はそれを 2 乗と一つの指数にまとめる。4 階導関数は、プライムを四つ並べるのではなく、階数を括弧に入れて y^{(4)} と書くのが慣習である。
同じ種類の記号を二つ続けることはできない。二つめの添字が文字にかかるのか一つめの添字にかかるのか、エンジンにはわからないからである。ログファイルはそのことを正確に述べ、自分が採用する解釈を示す。
! Double subscript.l.6 $a_i_ j$ を要素とする。I treat `x_1_2' essentially like `x_1{}_2'.修正は何を言いたかったかによる。二重の添字なら a_{ij}、添字そのものに添字があるなら a_{i_j} である。指数についての同様のメッセージは「Double superscript」で、意味に応じて x^{2^3} か {(x^2)}^3 と直すのがふつうである。
コンテンツを読み込んでいます…