パスカルの原理
概要:
本講義では、パスカルの原理について説明する。この原理は、非圧縮性流体に加えられた圧力が均一に分布することを主張している。その結果として、容器内での液面の一定性や置換された体積の関係が生じることを確認する。さらに、油圧機械への応用を示し、土地の水平化、異なる密度をもつ液体の液面差、油圧式エレベーターの仕組みなどの実用的な例を解く。
学習目標:
- 理解する パスカルの原理およびその非圧縮性流体への応用。
- 分析する 圧力の均一な分布や液面の挙動といった原理の帰結。
- 応用する パスカルの原理を実際の状況、特に油圧機械の作動において。
- 解く 土地の水平化や異なる密度をもつ液体における液面差に関する実践的な問題。
- 説明する トリチェリの気圧計を用いた大気圧の測定方法および油圧式エレベーターの作動原理。
液体における力の伝達
パスカルの原理は、非圧縮性流体を扱うときに適用される。この種類の物質における粒子は、位置そのものを保持するのではなく、相対的な平均距離を保持するように相互に力を及ぼし合う。もしこれが成り立たなければ、粒子はある領域で相対的な平均距離を変化させ、全体の体積が変化し、我々が扱っているのは圧縮性流体であることを意味する。実際のところ、ほとんどの液体は非常に非圧縮性が高いため、特定の領域に力が加えられると、その力は流体全体に完全に伝わる。
パスカルの原理の帰結
液面はどこでも同じ高さになる
これの明確な例は、次の図に示されている。もしこの容器に液体を注げば、管の形状に関係なく、利用可能なすべての空間で液面は同じように上昇する。

これは、すでに見たように、圧力が高さの関数であるためである。
P = \rho g h
液体の異なる部分の間に高さの差が存在するならば、必然的にそれらの部分の間に圧力差が生じることになる。
排出された体積 = 与えられた体積
液体のある点に圧力を加えると、液体は他のすべての部分で常に同じ液面を保ちながら移動する。与えられた体積 v_1 は、排出された体積 v_2+v_3. に等しい。
油圧機械に応用されたパスカルの原理
パスカルの原理は、油圧プレスの構造に利用されている。 液体内のすべての部分に圧力が均一に分布するため、次の関係が成り立つ。
P_2 = P_1
ただし、圧力は単位面積当たりの力として表すことができるので、P=F/A となり、次の式が得られる。
\displaystyle \frac{F_2}{A_2} = \frac{F_1}{A_1}
つまり、ピストン1に力 F_1 を加えると、ピストン2からは次のような力 F_2 が出てくる。
\displaystyle F_2 = \frac{A_2}{A_1} \cdot F_1
係数 A_2/A_1 は「力の増幅または減少の係数」と呼ばれる。1より大きければ増幅し、0から1の間であれば減少する。
応用例
- 二人の人物が傾斜した土地を水平にしたいと考えている。そのためにホースに水を満たし、両端を水平距離275[cm] 離して配置する。一方の点での水位は110[cm]、もう一方では175[cm] である。
a) 地面の高低差はいくらか。
b) 地面の傾斜角はいくらか。
- U字型のホースに水が入っており、その密度は 1000 [kg/m^3]. である。ホースの一端に高さ 20[cm] の油(密度 800[kg/m^3])を注ぐと、ホースの両端にどのような水位差が生じるか。
解答
- トリチェリの気圧計: トリチェリは次の装置を設計し、大気圧を測定した。
a) 水銀の密度が 13.534,0[kg/m3] の場合、大気圧による水銀柱の高さはいくらになるか。 P_{atm}=1,0[atm]=101.325,0[Pa] と仮定せよ。
b) 水銀の代わりに水を用いた場合、同じ圧力を測定するためには水柱はどの程度の大きさでなければならないか。
- ある油圧式エレベーターには2つのピストンがあり、一方の半径は2[フィート]、もう一方は30[フィート] である。a) 大きい方のピストンで1トンのブロックを持ち上げたい場合、小さい方のピストンにはどのくらいの重さを置かなければならないか。b) 大きい方のピストンでコンクリートブロックを高さ 50[cm] 持ち上げたい場合、小さい方のピストンはどの距離を移動する必要があるか。

