要約
この課では、書籍や学位論文の事項索引と用語集の作り方を学ぶ。事項索引の役割と目次との違いを説明し、imakeidx パッケージとその命令 \makeindex、\index、\printindex、そしてエンジンの二回の処理のあいだに makeindex が項目を並べ替えるコンパイルの手順を紹介する。さらに、副項目、漢字の語を読みの順に並べる読み(ソートキー)、日本語では「→」で示す参照、ページ範囲、強調したページ番号を扱い、人名索引と事項索引のように複数の索引を同時に管理する方法を示す。続いて glossaries パッケージを、定義した用語と、初出で展開される略語とともに紹介し、その派生版 glossaries-extra にも触れる。最後に、よくある誤りを取り上げる。更新されない索引、五十音順にならない項目、表記の違いによる重複項目である。
学習目標
- 事項索引、目次、用語集を、それぞれが何を並べ、読者に何を提供するかによって区別する。
- 索引項目に副項目、読み、参照、範囲、強調したページ番号を付け、それぞれの指定が何を出力するかを予測する。
- makeindex を使うコンパイルの手順と、各段階で作られるファイルを説明し、索引が更新されない理由を見分ける。
- 一つの文書で複数の索引を管理し、各項目をそれぞれの索引に振り分ける。
- glossaries で用語と略語を定義し、各参照が何を出力するかを予測して、用語集と略語一覧を組む。
- 出力された索引とログから、重複した項目、位置のずれた項目、用語集の誤りを診断する。
事項索引の役割
見出し、目次、付録の課では目次を見た。目次は \tableofcontents が文書の冒頭に組むもので、babel の日本語設定では見出しが「目次」になる。目次は本文の区分を現れる順に再現し、本文がどう構成されているかという問いに答える。事項索引は別の問いに答える。何について、どこで述べられているか、である。本文が扱う概念、人名、著作を一定の順に並べ、それぞれが現れるページを示す。科学史の本がケプラーについて何を述べているか、生化学の教科書がエンタルピーについて何を述べているかを知りたい読者は、目次では見つけられない。どの節の見出しもそれを挙げていないからである。読者はそれを索引で見つける。
したがって、事項索引は目次のように文書の構造から得られるものではなく、著者の判断から生まれる。どの用語を載せるか、どの形で、どのような細目に分けて載せるか、である。あらゆる語のあらゆる出現を拾った索引は役に立たない。読者にすべてのページを返すだけだからである。よい索引は、用語が定義され、論じられ、応用される箇所を拾い、読者が引きそうな形から、選ばれた形へと案内する。だから索引は書籍、教科書、長い学位論文のものであり、十ページの論文のものではない。
用語集は第三の道具である。用語がどこで論じられているかではなく、何を意味するかを示す。定義の一覧であり、本文で使う略語の一覧とその正式名称を伴うことも多い。どちらも同じ仕組みで組まれ、この課ではまず索引でその仕組みを学ぶ。
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